2021 令和3年 3月

健康増進施設「神馬の湯」開始

多度大社の麓に位置する自然豊かなロケーション。施設の名称は、上げ馬神事と、多度大社内にかつて「湯屋」があったと文献に記されていることにちなんだ

近年、自治体財政の硬直化を受けて、PFI(Private Finance Initiative/民間資金等活用事業)の手法を導入する動きが全国的に広がっている。
PFIは、公共施設の新設や建て替えを一括して民間に任せる仕組みだ。限られた財源の中、民間の発想で魅力的かつ収益が見込める施設を作り、地域活性化を目指す。内閣府によると、令和4年度末までに実施されたPFIの事業数は1004件。10年前の平成24年度末と比べて2倍以上に増えた(出典:内閣府「PFI事業の実施状況について」)。
こうしたPFIに積極的な三重県桑名市の考えに共鳴し、蔦井が同市と連携して令和3年3月22日に開設したのが日帰り温泉施設「神馬(しんめ)の湯」である。
上げ馬神事などで知られる多度大社に近い敷地約1万2400平方メートルを桑名市から賃借し、鉄骨2階建て延べ約2800平方メートルの施設を建設。公募型プロポーザル方式により受託したもので、建設費約16億円は蔦井が負担した。
施設内は、高級旅館を思わせるゆったりとしたしつらえで、天然アルカリ性単純温泉を使用した内湯と露天風呂をはじめ、サウナ、岩盤浴、レストラン、土産物ショップ、キッズスペースなどを備える。中でも、名古屋の市街地や岐阜、長野の山並みを一望できる露天風呂は「非日常のひと時が味わえる」と好評だ。
「神馬の湯」は当社にとって、設計から施工、維持管理、運営までをPFI手法により包括的に受託した初の事例。開設にあたっては、計画段階から桑名市や市民の皆様との対話を重ね、同市の新たなにぎわい拠点となるよう、さまざまな工夫を凝らした。そうした取り組みが奏功し、オープン以来、多くの利用客が訪れる人気スポットとなった。旅行情報誌が発表する温浴施設の人気ランキングで全国3位に選ばれるなど、観光施設としての認知度も向上(出典:「じゃらん」行ってみたい!最新スーパー銭湯ランキング)。市民の健康増進と併せて、桑名市の魅力向上や交流人口の増加に寄与している。
今後も蔦井は、志を同じくする自治体と連携してユニークな施設整備に取り組み、地域の活性化に貢献していきたいと考えている。

泉質はアルカリ性単純温泉で、やわらかな肌あたりが特徴
地産地消をテーマに多彩な料理を提供する館内レストラン
DATA
所在地:三重県桑名市多度町小山字西天王平2160
TEL:0594-82-5450
営業時間:平日9:00~23:00(最終受付22:00)、土日祝7:00~24:00(最終受付23:00)
休館日:第3火曜(祝日の場合は翌平日)
※5・11月のみ第3火曜・水曜連休
アクセス:養老鉄道「多度」駅下車、徒歩9分
ホームページ:https://shinmenoyu.jp/
※2024年3月現在